いい人は損をする?
娘は高校1年生。
第一志望の公立高校に落ちて私立高校に通っている。
(この地域では公立1校、私立1校だけの受験)
落ちてしまったことはまことに残念であり
悔しく悲しい出来事であった。
夫は私立高校のメリットを語り娘をフォローしていたのだが
数日経過した後に
夫が娘に対してブチ切れた。
本番に力を出し切れなかったことに対してではない。
志望校を1ランク下げておけば、という後悔でもない。
話は少し遡る。入試当日の出来事。
同じ中学校からその高校に娘を含め
3人の生徒が受験したのだが
そのうちの1人の女子生徒が持参した時計は
置き型タイプの目覚まし時計
注意事項に置き型タイプはNGと書いてある。
「これしか持ってない」という理由で
彼女はその時計を机の上に設置。
当然注意されカバンの中にしまうことになった。
しかし試験を受ける室内に時計はない。
娘は自分の万が一に備えて腕時計を2本所持していた。
娘は彼女に腕時計を貸した。
これまた注意事項に書いてあったのだが
物の貸し借りは禁止
そして
娘は不合格
娘から時計を借りた彼女は合格
娘が時計を貸しても貸さなくても
結果は変わらないかもしれない。
しかし夫は娘を責め立てた。
「何のために時計を2本持ってたんだ。自分のためだろうが」
「勝負の場でお前は何をしてるんだ」
「最悪な落ち方だ」
「いい人は都合よく使われ搾取されるんだ」
数日にわたって激しい口調で娘を責めた。
我慢していた感情が溢れてしまったようで怒り狂ってた。
更年期だから?
加齢により感情の抑制がきかなくなっているのか?
もともとの性格か?
夫が言っていること全てが間違っているとは思わないが
とにかく言い方がよろしくない。
ついでに私も責められた。
「お前が甘やかすから娘が時計を貸すような人間になった」
夫はこんななので子ども達は社会に出て
ちょっとした理不尽やパワハラに直面したとしても
耐性があるものと思われる。
夫 それでも娘から好かれたい
夫がこんなことをつぶやいた。
「娘ちゃんがオレを避けている気がする」
当然だろう。気のせいではない。
あれだけ傷口に塩を擦り込んでおきながら
娘から好かれたいと思っている図々しさに驚く。
日々、平静を装って父親と接している娘は立派だと思う。
責め立てられた娘はへこんでいたけれども
「お父さんは私の事を思って言ってくれている」
と健気なことを言っていた。泣きながら。
一方で
「言われ放題で悔しいからお父さんがぎゃふんと言っちゃう
ような大学に受かって家を出ていけるように頑張る」
とも言っていた。真顔で。
息子が浪人した時も夫は感情のままに言いたい放題だった。
そのため息子も今の娘と同じようなことを言っていたし
平静を装いつつも父親を避けた。
でも
浪人を脱してからは改善傾向。
夫は「ぎゃふん」こそ言ってはいないが
息子を褒めて認めるような言葉を本人に伝えたからだと思う。
切開された傷口が縫合されたイメージ。
傷跡は残るけれども日常生活はおくれるし
傷があったことを忘れたりもするし。
時として感謝もするだろう。
今は無理だろうけれどもいつか娘から
「安心してください。傷口ふさがってますよ」
と言ってもらいたい。
だけど気を付けないと傷口は
化膿することもあるし再縫合が必要になることもある。
普段は忘れていても姿勢によっては痛みを感じることもある。