文豪による昔話の書き換えに衝撃を受けたい時はコレ
日本人なら皆知っている昔話であり、正義の象徴でもある
【桃太郎】
桃太郎はヒーロー
勧善懲悪な物語の王道である。
しかし、
芥川龍之介の【桃太郎】では
桃太郎は身勝手な【悪】の存在
鬼は平和を愛する【善】の存在
< 桃太郎、猿蟹合戦、他が収録されている >
あらすじ
桃から産まれた桃太郎。
ある日、鬼退治に行くことを思い立つ。
理由は
「働きたくないから。」
ろくでなしの桃太郎を追い出したかった
おじいさんとおばあさんは、
きびだんごを用意して送り出す。
とりあえず、鬼退治へ向かった桃太郎。
道中でイヌ、キジ、サルにきびだんごを
1つではなく1/2個だけ渡して家来にし、
鬼ヶ島で鬼退治スタート。
平和に暮らしていた鬼たちを蹂躙する。
「自分たちはなぜ征伐されなければならないなのか。」
鬼たちは訳が分からない。
印象に残ったところ
降参した鬼の酋長は桃太郎に質問する。
「なぜ鬼ヶ島を攻撃したのですか。」
「鬼はあなた様に何かしましたか。」
それに対する桃太郎の身勝手な答えに言葉を失った。
侵略戦争の歴史が頭をよぎった。
まとめ
この作品は、軍国主義を皮肉った
社会風刺だったと言われている。
この作品を読むことで、
一般的な桃太郎のイメージとはかけ離れ、
怠惰でケチ、強欲で残虐な芥川龍之介の桃太郎に仰天しつつ、
大義名分さえあれば残虐性を発揮する人間に
恐怖を感じるのではないだろうか。
この作品を我が子達には読み聞かせをしていない。
とても無理。
鬼退治をする桃太郎一行による数々の非道な振る舞いを
朗読するには忍びない。
子ども達が自分で読み、
戦争とは何なのか
正義とは何なのか
人間とは何なのか
自分で考えてほしいと思っている。
併せて読みたい芥川龍之介の【猿蟹合戦】
サルにかたき討ちを果たしたカニ達のその後が書かれている。
平和に暮らしたかと思いきや、
逮捕され、裁判にかけられている。
文豪による昔話の書き換えに興味を持たれた方は
手に取って読んでみてほしい。